東京オリンピック閉会式スピーチ

今夜2020東京オリンピックが閉幕する。菅首相がスピーチをするが、自分ならどんな内容の原稿を書くか考えてみた。それと実際に首相が話す内容を今夜比較してみることにしよう。

 

 先月23日に開幕し、日々熱戦が繰り広げられた2020東京オリンピックが本日いよいよ閉幕いたします。困難な状況の中死力を尽くして相手と、あるいは自分と戦ったアスリートのみなさんに敬意を表します。

 将来オリンピックのことを調べていた少年少女は、あることに気付くでしょう。オリンピックは4年おきに開催されているのに、なぜ第32回のオリンピックは2020年ではなく2021年に開催されたのかと。そして、なぜ競技会場に観客がいないのかということを。そのとき、この大会を見ていた皆さんには彼女たちにこう伝えて欲しい。当時はコロナウィルスという感染症が世界中に広がり日々の生活も大きな影響を受けていて様々な規制を受ける困難な時代であり、2020年には開催できる状態ではなく2021年も開催は困難だと見られていた。しかし日本は困難な状況の中、この平和の祭典が悲しみや無力感の広がる世界の中で希望の光となることを信じて、大きな努力を伴い開催を実現したと。

 古代オリンピックでは戦争期間中であっても戦争を休止し、オリンピックを開催していました。それは何のためで、なぜできたのでしょうか?おそらくそれは、身体を鍛え上げた参加者達が真剣に競う姿を見て、スポーツには戦争よりも価値があるということを理解していたからだと思います。そうです、古代からオリンピックは戦争を上回る平和の祭典としての、普遍的な価値を有していたのです。その価値は、現代においてもいささかも変わることはありません。それは競技中の、あるいは競技を終えたアスリート達がみずからの限界に挑戦し、あるいは相手を称える光景を目にした我々の心を強く打つことからも示されています。

 そしてその姿を見るために、大会開催に関係したスタッフの皆さんは素晴らしい貢献をしてくれました。医療スタッフ、ボランティアの方々、民間事業者、政府関係者。皆さんの献身的な働きなくして今回のオリンピックは到底開催することはできませんでした。あなたたちに、最大の感謝を伝えさせてください。また国民の皆さんも、議論のある中ではありますが懸命に戦う選手たちの姿を見て、声援を送ってくれました。直接ではなかったにしろその心は選手たちに届いて力になっていたものと確信しております。

 平和の祭典であるオリンピックですが、観戦することを楽しみにしていた世界中の皆さんを招いて開催することができなかったことは痛恨の極みです。ですがどんなに厳しい状況の中であってもスポーツには、オリンピックには人々の心を動かす力があることを改めて伝えることができました。そのことこそが、いまこの時期にオリンピックを開催する意義であったと感じています。

 次回の夏季オリンピックは2024年パリで開催されます。ボンジュール!フランスの皆さん。まだまだ不透明な状況が続きますが、パリ大会では現在の混乱が収まっていることをお祈りしております。アスリートの皆さん、そして世界中の皆さん。それでは3年後、パリ大会が素晴らしい大会になることを願いながらしばしのお別れをいたしましょう!